つねにふりだし【 起立性調節障害と不登校 】

起立性調節障害から不登校になった娘との日常

ひとりぼっちの悪夢

 

 娘は、もともと活発な子で、空手も好きな剣道も頑張っていました。家に来る友達は全員男の子、忘れ物は常習で、男の子とでも遊びの中でトラブルになり先生から呼び出されるくらい、女の子らしからぬ生活を送っていました。

 

それが起立性調節障害で朝に起きることができなくなり、学校へいけなくなると、日に日に元気がなくなり無表情になっていきました。そのうち「朝起きられない」から「夜眠れない」に変わり、朝の4時頃に眠って午後2時頃に起きる、という普通の人と半日ずれた生活をするようになりました。

 

 部屋の隅にうづくまり、話しかけても聞き取れないくらいの声でしか返事ができず、口をパクパクさせるだけの娘に、ワザとやっているんじゃないか?とイライラしていました。肝心なことは何も伝えず、夜遅くまでボーッとテレビを見てゲームをして、You Tubeを見て笑っている娘を見ると、ついつい「昼に活動しないから夜に眠れないんじゃないの?」「夜遅くまで起きているから、朝が起きれないんでしょう?」と嫌味っぽく怒った頃もありました。

 

エネルギー切れを起こしている娘に、きつくあたってしまったのはなぜでしょう?

 

その時の私には、娘がエネルギー切れを起こしていることがわからなかったからです。起立性調節障害への理解がとぼしく、ただグダグダしているようにしか見えなかったからです。

 

その間私は、担任の先生への日々の報告をし、対応の糸口はないかとスクールカウンセラーをはじめ、発達支援センターや病院など利用できそうなところを探しては相談をしていました。家事も仕事も待ってはくれませんから、何かと忙しい日々に、右往左往していました。

 

今思えば、自分がなんとかしなければと一生懸命になりすぎて、肝心の娘の気持ちを置き去りにしてしまっていたように思います。

 

現実を冷静に受け止めることができず、娘を救いたいという気持ちが空回りし、娘を思いやる余裕がなくなっていたのです。落ち着いて考えると、ドツボっていますよね。でも、その時には気がつかなかったんですよね。ほんと反省…

 

 

この頃のことを後に教えてくれたのですが、布団に入っても眠くならず、眠りたいけれど眠ることができない、という睡眠障害を起こしていたようなのです。「眠った時には悪夢をみるため、眠るのが怖くなってしまった」とも言っていました。

 

その夢とは、山の上に同級生と一緒に遠足に行くのですが、ふと気がつくと一人取り残され、みんなは消えてしまうという夢だったそうです。

 

学校へ行けていない娘は、まさにそんな気持ちだったのでしょう。自分でもコントロールできない体に、大きな不安を抱えていたのです。

 

不安の穴に落っこちてしまった娘を助けるには、情報も知識もなく、ひとりの力では心もとなかったため、私は、なるべくたくさんの人に助けを求めました。結果として間違いではなかったと思っています。ただ、娘としては不安の穴に落っこちて、周りには誰もおらず、ひとりっきりで心細かったに違いありません。 

 

子供の気持ちを受け止めるのは親の仕事です。しかし、それも親の気持ちが落ち着いて初めてできることです。パニクってしまうのはあたりまえ、恥ずかしいことではないのだ。と自分に言い聞かせる毎日です。親だからこそ、心配でうろたえてしまうのです。子育てに正解も不正解もありませんよね。進んでは戻り、ときにはふりだしに戻ることもありますが、あわてず親子で一緒に歩んでいきたいと思います。

 

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